(仮訳)ユーラシア温帯域産のPhanerochaete sordidaグループ、およびPhanerochaete pallidaに関する記録
Volobuev, S. et al., 2015. The Phanerochaete sordida group (Polyporales, Basidiomycota) in temperate Eurasia, with a note on Phanerochaete pallida, with a note on Phanerochaete pallida. Mycological Progress. Available at: http://link.springer.com/article/10.1007/s11557-015-1097-0 [Accessed May 18, 2016].
【R3-02935】2016/05/18投稿

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3行まとめ

ユーラシア温帯域で採集されたPhanerochaete sordidaグループの形態学的検討および分子系統解析を実施した。
ロシア、ハバロフスク地方から新種P. concrescensを記載し、新組み合わせP. livescensおよびP. cumulodentataを提唱した。
P. pallidaの本菌群との類縁性を否定し、ByssomeruliusクレードのP. jose-ferreiraeに近縁だとした。
Russia, Khabarovsk Region, Solnechnyi Dist., Sonakh

(新種)

Phanerochaete concrescens Spirin & Volobuev
語源…厚い
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【よく似た種との区別】
Phanerochaete livescens
ロシアに分布する
被子植物を宿主とする
子実層面が平滑
担子胞子のサイズの範囲が重なる
担子胞子のQ値の範囲が重なる
担子胞子が円筒形
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフィンランド、ドイツ、イラン、イスラエル、ラトビア、ウクライナなどにおける分布が知られている
本種と異なり子実体が多年生ではなく一年生
本種と異なり子実体が白色~クリーム色ではなく淡クリーム色~淡黄褐色
本種と異なり子実体が部分的に膠着する
本種よりシスチジアの幅が僅かに狭い
本種と異なりシスチジアが人参形で先端が丸いのではなく人参形~瓶形で先端が尖る
本種と異なりシスチジアの壁が頂部に向かって徐々に厚くなるのではなく均一の厚さである
本種と異なりシスチジアの結晶が先端のみではなく通常下方に広がって全長の1/3まで覆う
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ)

Phanerochaete cumulodentata (Nikol.) Parmasto
旧名:Radulum cumulodentatum Nikol.
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【よく似た種との区別】
Phanerochaete magnoliae(アカコメバタケ)
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりヨーロッパなどではなく北米などに分布する
本種より担子胞子が長い
本種よりシスチジアのサイズが大きい
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phanerochaete sordida(ウスキイロカワタケ)
ロシア、フィンランドなどに分布する
顕微鏡的形質が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が明色でない
本種と異なり子実体が小瘤状または”raduloid”でない
本種より担子胞子のサイズが大きい
本種と異なりシスチジアが薄壁ではなく基部が厚壁で頂部に向かって徐々に薄壁
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(新組み合わせ)

Phanerochaete livescens (P. Karst.) Volobuev & Spirin
旧名:Grandiniella livescens P. Karst.
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【よく似た種との区別】
Phanerochaete sordida(ウスキイロカワタケ)
ロシア、フィンランド、ドイツなどに分布する
“basal hypha”が幅広い
“basal hypha”が直角または鋭角に盛んに分枝する
“basal hypha”が厚壁
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子器の幅が顕著に広い
本種より担子胞子の平均幅が広い
本種と異なり担子胞子が円筒形でない
本種と異なりシスチジアが尖った頂部に向かって徐々に先細りになるのではなく常に鈍頭
本種と異なりシスチジアの上部を結晶が覆うのではなく樹脂状または結晶状の付着物が僅かに存在することがあるのみである
本種と異なりシスチジアの壁の厚さが一様なのではなく頂部に向かって薄壁
本種ほど実質の菌糸が密に配列しない
本種と異なり実質の菌糸がしばしば無数のプリズム状または菱形の結晶に覆われるという特徴を欠く
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phanerochaete concrescens
ロシアに分布する
被子植物を宿主とする
子実層面が平滑
担子胞子のサイズの範囲が重なる
担子胞子のQ値の範囲が重なる
担子胞子が円筒形
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なりフィンランド、ドイツ、イラン、イスラエル、ラトビア、ウクライナなどにおける分布が知られていない
本種と異なり子実体が一年生ではなく多年生
本種と異なり子実体が淡クリーム色~淡黄褐色ではなく白色~クリーム色
本種と異なり子実体が部分的に膠着するという特徴を欠く
本種よりシスチジアの幅が僅かに広い
本種と異なりシスチジアが人参形~瓶形で先端が尖るのではなく人参形で先端が丸い
本種と異なりシスチジアの壁が均一の厚さではなく頂部に向かって徐々に厚くなる
本種と異なりシスチジアの結晶が通常下方に広がって全長の1/3まで覆うのではなく先端のみ覆う
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phanerochaete velutina(チャカワタケ)
ロシアなどに分布する
担子胞子のサイズがほぼ同一
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実層面が桃色~帯赤色
本種と異なり子実体の縁部が淡色
本種と異なり子実体の縁部がしばしば根状菌糸束様
本種よりシスチジアの幅が顕著に広い
本種と異なりシスチジアが尖った頂部に向かって徐々に先細りになるのではなく鈍頭
本種と異なりシスチジアの上部ではなく全長を結晶が覆う
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Phanerochaete sordida (P. Karst.) J. Erikss. & Ryvarden
ウスキイロカワタケ
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【よく似た種との区別】
Phanerochaete cumulodentata
ロシア、フィンランドなどに分布する
顕微鏡的形質が類似している
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種と異なり子実体が明色
本種と異なり子実体が小瘤状または”raduloid”
本種より担子胞子のサイズが小さい
本種と異なりシスチジアが基部が厚壁で頂部に向かって徐々に薄壁なのではなく薄壁
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される
Phanerochaete livescens
ロシア、フィンランド、ドイツなどに分布する
“basal hypha”が幅広い
“basal hypha”が直角または鋭角に盛んに分枝する
“basal hypha”が厚壁
ITS領域に基づく分子系統解析で近縁
本種より担子器の幅が顕著に狭い
本種より担子胞子の平均幅が狭い
本種と異なり担子胞子が円筒形
本種と異なりシスチジアが常に鈍頭なのではなく尖った頂部に向かって徐々に先細りになる
本種と異なりシスチジアに樹脂状または結晶状の付着物が僅かに存在することがあるのみではなく上部を結晶が覆う
本種と異なりシスチジアの壁の厚さが頂部に向かって薄壁ではなく一様
本種より実質の菌糸が密に配列する
本種と異なり実質の菌糸がしばしば無数のプリズム状または菱形の結晶に覆われる
ITS領域に基づく分子系統解析で明瞭に区別される

(その他掲載種)

Phanerochaete pallida Parmasto
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【よく似た種との区別】
Phanerochaete jose-ferreirae
子実下層の菌糸の幅の範囲が重なる
偽担子器のサイズの範囲が重なる
担子胞子のQ値がほぼ同一
実質の菌糸の幅の範囲が重なる
本種と異なり東アジアではなくヨーロッパおよびコーカサス地方に分布する
本種より担子器の幅が広い
本種より担子胞子の平均サイズが大きい
本種より子実体形成菌糸層の菌糸の最大幅が広い
本種と異なり子実体全体の菌糸に樹脂状付着物を伴うのではなく子実体形成菌糸層および実質の菌糸に結晶状付着物を伴う